航空法緩和。天神ビジネスセンタープロジェクトがランドマーク水準へ
天神の明治通りのど真ん中。
天神ビッグバン第⼀号天神ビジネスセンターは、福岡市天神地区で建設予定の大型複合ビルだ。実は当初は高さ76メートル程度の、高層ではあっても抜ける存在という計画ではなかった。この数字は航空法の高さ制限の上限だったからだ。
しかし、昨年9月に航空法における高さ制限が緩和されたことにより、高さの変更を決定した。76メートルから90メートル、これは地上19階建てに相当する。
ビルの高さはステータスでもある
天神地区では現在、航空法の高さ制限がどんどん緩和されている。というのも、高層ビルの物理的な高さという要素は、経済活性化に大きく影響するからである。加えて再開発は緩和のタイミングとしては打ってつけ。国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれた福岡市としては、ビジネス街さながらのイメージである超高層ビルディング群の風景は、経済の新たな活⼒を⽣み出す原動⼒として必要不可欠な要素なのである。
現在、日本各地でシリコンバレーのような聖地を目指す地区が増加の一途を辿っている。天神地区もまた、スタートアップの拠点を目指す目標を掲げており、まず企業誘致を促す意味では、高層ビルという環境の準備が必要で、これが競争を勝ち抜く為の手段でもある。また、近隣ビル同士に、高さという競争力を持たせ合うことで、地域内でのビジネス活性化も期待できるというわけだ。特区に選ばれただけあって、市は「競わせることのメリット」を熟知しているといえる。
ちなみに、天神ビジネスセンタープロジェクトは天神ビッグバン第⼀号である。再開発の成功事例として名を残す必要があるポジショニングであり、力の入り具合は計画内容や変更事項からも抜かりの無さが伺える。必要あればこの後も計画変更を随時行っていくのだろう。
優秀な人材の呼び込みを活性化し、流出も抑えるダブルメリット
天神ビジネスセンターはほぼオフィスが入る計画で、特にIT企業の誘致を意識している模様。ここからは私見になるが、何故IT企業を重視するか。答えは「定着率が高い」からだ。この理由の一つしては、利益率が高くコストが低いビジネスが多く、そもそも企業としての存続率が高いのである。また、パワフルな若年層の人材が多いこともメリットであり、世界を牽引するIT業界のフレッシュな情報を、まさに福岡から発信できるというわけだ。
当然、世界から優秀な人材が来ることを促すこともできれば、福岡から東京、大阪、海外への流出を抑えることも期待できるのである。
成功が成功を呼ぶとはまさにこのことで、福岡発の熱い時代が、今はじまろうとしている。