目 次
地価のランキングは、
日本国内、同じ国の中であっても、各々の地域の価値や魅力というものはどこよりも高いほうが誇らしく思える。だからこそ、誰しもが「ランキング」という言葉を意識するのである。日本の南を守る大都市「福岡」。
目下、再開発プロジェクトが活発な福岡にとって、更なる追い風となるニュースが発表された。
国土交通省の発表によると、福岡の住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途、4年連続で公示地価が上昇しているというのだ。ちなみに今回の発表では、大分県や熊本県といった九州圏のエリアが軒並み上昇という結果で、九州全体に追い風が吹いていることが分かる。
また、福岡を含む国内の地方商業地全体に関していえば、なんとバブル期以来の26年ぶりの上昇という結果になっている。
公示地価上昇の牽引は、やはり再開発が中心か
天神コア、福岡市中央区天神1丁目11-1が、九州の価格最高地点である。
2018年の地価公示・価格は(872万円/1㎡)年間上昇率11.1%である。3年連続で、2桁上昇率であった。まさに、天神ビッグバンの対象地域である。
福岡は現在、再開発事業の真っただ中にある。今回の国内全体の公示地価上昇の発表では、その要因として、再開発、インバウンド(訪日外国人客の増加)によるホテル需要が主なところであるとのこと。まるでピンポイントで福岡のことを言っているようだ。また、国内各所からの福岡への人口流入や企業集積も相俟って、全体として地価を押し上げた結果と分析できる。
以下、目下上昇の一途を辿る福岡をはじめとした九州を、いくつかの要素で分析する。
-訪日外国人客-
福岡の再開発にあたって重要視されていることの一つが、訪日外国人客を意識した環境整備である。特にホテルの建設には力を入れており、駅前に一流のホテルを増やすという計画が、地価上昇の一因であることは明白である。
また、訪日の影響は福岡に留まらない。移動による地域観光需要が増す為、九州全体の連携が要される。つまり、他の県に関してもある程度は交通や施設の見直しが必要になってくるのだ。これが更なる地価上昇を続ける要因といわれている。
-全国から人口流入で住宅需要増加-
こと住宅事情に関しては、交通利便性の高い場所の上昇が当然のことながら顕著だ。JRの博多駅や千早駅の近辺に既に建ち並んでいる高層マンション群を見れば一目瞭然である。このエリア、ついに地価上昇率12.0%を達成。先に述べたランキングという面では全国の住宅地に10位にランクインを果たし、全国トップ10入り。
消費者目線で考えれば、単純に「高い」。しかし、このリスクを払拭する声のほうが多いことが、福岡再開発の凄さだ。
「博多や天神へのアクセスを考えれば妥当」と、消費者に言わしめた。この現在の水準を当たり前と思える価値観は、別記事でも述べたが、これが「シビックプライド」の更なる向上に繋がるのではないだろうか。
-物流需要が押し上げた工業地-
こと福岡に関しては、博多港の物流需要増(自動車輸出、衣料品輸入、等)や、半世紀をかけて完成したバイパス等が影響し、工業地の地価を押し上げてきていることが伺える。
陸海空どれにもいえることで、交通利便性の飛躍的な向上は、物流を加速的に成長させる。
工業地の地価上昇は、先に需要があった物流に対して、総力をあげて対応してきた福岡の努力の賜物といえよう。
全国の活躍都市にも要注目
経済というものは皮肉なもので、「競争」を強いられることと同時に「共存」が必要になる。グローバルスタンダードの視点では、日本全体が一丸となる必要もあることを無視してはならない。
地域同士の競争を、グローバルな視点からスケールの小さな話にされてしまわないように、競争の中で相乗効果を生み出す必要がある。
以下、今回の公示地価発表で福岡と並んで注目された地域をご紹介する。
-東京-
その地は、注目の「虎ノ門」。企業も店舗も国の機関も存し、それだけでステータスと言われているほどの場所だ。そして商業地の価格としての福岡の価格上位一位の天神コアと並ぶ地域である。2018年の価格は(876万円/1㎡)上昇率11.5%である。
価格の上昇は、そこを買う層も想像できる。当然、投資家がこぞって虎ノ門を狙うのだ。
そうすると、東京も都心の超一等地に相応しい複数の再開発が必要になってくる。そして更に地価を上昇させる。虎ノ門は完全に上昇曲線に突入したといえる。
–大阪–
心斎橋OPAやホテル日航が建つ御堂筋沿いの西心斎橋一丁目(930万円/1㎡、上昇率14.8%)は、前年同水準であったが、最高価格地の天神コアを上回る結果となった。
大阪道頓堀を中心としたエリアでは、商業地の価値が急上昇。ふぐ料理の「ずぼらや」ビル510万円を記録。これは、天神西通り17年実績500万と並ぶ。インバウンド需要の急拡大が価格上昇を牽引している。
訪日外国人客は、大阪の個性的な「顔」に興味津々なようだ。今後もテナントの増加に勤しめば、訪日客を飽きさせることはないだろう。
-愛知県名古屋-
そして、リニアで注目される名古屋だ。名古屋は、あのトヨタを筆頭に企業が地価を支え続けている。インフラそのものともいえるトヨタ自動車には、我こそはと他企業からの売り込みの嵐。これは今も昔も変わらない。そんな企業群は、チャンスを逃さない為に物理的にトヨタの近くに拠点を置きたがる。トヨタによって吸い寄せられる企業のオフィスが、更に愛知の地下を上げるという構図だ。
加えて、2027年開業予定のリニア中央新幹線。ごく短時間で東京との往来を実現すると、名古屋に住んで東京へ通勤することが当たり前になり得る。こうなると名古屋に住宅需要が到来し、企業が支える地価に住宅需要の要素も加わり、盤石必至が期待できる。
日本のチカラ。2020年東京オリンピックへの鼓動
2020年の東京オリンピック開催を控えて、現時点でも主要都市ではこれほどに地価が上昇し、住宅地、商業地、工業地といった多岐に渡り、成長を続けている。
まだまだ天井が見えない「日本のチカラ」、これに奢ることのない地に足の着いた前進が期待される。
特に、福岡のポテンシャルは、他の主要都市と比べられるものとなってきた。
福岡の地価は、まだ上昇余地があるものと思われる。