過去最大規模の中期経営計画に見る西日本鉄道の本気
西日本鉄道(以降、西鉄)の2018年度の事業計画が発表された。
核となる計画は、
福岡ビルを含む福ビル街区の建て替え計画、
国際物流の海外営業拠点拡充、
この2計画だ。
98年以降最大。設備投資額473億円はこう使われる
西鉄の発表では、福ビル街区の建て替え計画で、福岡ビルと「天神コア」「天神ビブレ」の一体開発を進めたいとのこと。この計画で注目すべきは「基本設計」だ。
この部分に巨額の設備投資を行う。基本がどれほど重要性を持っているかということが巨額投資から実に理解できる。18年度中はあくまで基本設計に注力し、福ビル街区の新しい礎を築きたい想いだろう。
また、公共交通面では市内運行の連節バス増便、北九州地区の連節バス導入を視野に入れている。
ここで、連節バスについて話を詰めてみよう。何故に連節バスが必要なのか。
・一台で通常のバスよりも大人数を運ぶことができる
・大型の為、専用レーンが検討される可能性→渋滞緩和
・良い意味で目立つ。インバウンド需要を視野に入れると街のシンボルの一つに
上記のような点は声を大にされているようだ。
ほか、ある都市では既に連節バスに関する所感が出ている。
・乗車人数が多い場合でも混雑しないサイズ
・窓が大きく乗車自体が楽しい(ここに観光需要あり)
・一台で大人数を運ぶことは排気面で環境にとってもメリット
現時点では連節バスの増便や新設はメリットが大きいといえる。とはいえ現状は、連節バスは人々にとって馴染みの浅い存在で、否定的な意見もあるようだ。故に協議は入念に、とのこと。
しかし今回の西鉄の計画、そして福岡市にもいえることであるが、今後の福岡の発展を占う上で大胆な計画が散見される点は、保守的ではない動きで寧ろ好感に映る。
巨大港を持つ誇り。国際物流へのこだわり
福岡といえば博多港の存在はすぐに想像できる。近年、博多港の輸出入関連による利用船舶数は、港のキャパシティを超えるほどの充実ぶりを見せている。それほどに物流の拠点としては重要な役割を担っているということだ。
それでは、この博多港を抱える福岡市や西鉄が海外物流拠点を意識するとどうだろうか。各国との信頼関係に一層拍車がかかる公算だ。こうしてあらゆる切り口で見れば、莫大な予算が割かれることに納得の一言である。
西鉄の新体制にも注目
フォードの創業者であるヘンリー・フォード氏の言葉にはこうある、「小さな仕事に分けてしまえば、何事も特に難しいことはない」と。西鉄は組織風土の改善にも乗り出した。「改善を謳う理由」は必至で、「改善しなければならない」からだ。
そこで西鉄は、細かく分けることにした。課長級社員で構成するプロジェクトチーム、IT推進部の分割再編。
それぞれが独立したアイデアを出しやすい環境であることは、最終的なブラッシュアップの質をより良くすると言われている。
次代のアイデアも尊重するべきであるという西鉄の想いが反映されており、企業としての更なる前進が期待される。