課題を乗り越えてついに動き出す「天神ビル」再開発
九州は福岡市の天神のど真ん中。
ここに、2020年をもって築60年も経ようとするビルがある。それが、九州電力グループの所有する賃貸オフィスビル「天神ビル」だ。60年の時を過ごせば、どんな建物であっても当時の技術建築のままで存続を認めることはできない状態になる。
建て替えの計画が浮上することは必然だ。
天下の九電だけに早々に再開発計画が視野に入ると、誰しもが思うところだ。しかしここで大きな問題が立ちはだかる。
天神変電所の存在
天神ビルは地上11階、地下3階という非常に大型のビルだ。駅近もあってかオフィスとしての需要は絶えることはない好立地である。従って、再開発にあたってはビル内に拠点を構えている多くの企業に一度は退居の願い出を出さなければならない。
加えて、このビルの地下3階にはなんと「変電所」があるのだ。九電だけに驚くことではないが、オフィスビルの地下にあることは広く周知されていることではない。これが建て替えを難しくさせた障壁だった。故に、長らく保留のような状況が続いてきたわけである。しかしここにきて大きな動きがあった。
都心再開発構想「天神ビッグバン」
九電にとって、天神ビルをそろそろ何とかせねばという後押しになったのがこの「天神ビッグバン」である。福岡市自体が主導の都市再開発構想だ。九州電力もさすがにこのタイミングに乗り遅れるわけにはいかず、代替施設用地の検討を開始した。既に用地の目星はついている模様だ。
天神ビル再開発で期待される近隣環境
再開発というのものは、ピンポイントで完了すればよいというものではない。周辺施設や交通環境との親和性を入念に計画しなれば、開発完了後の企業や人々の動きにマイナスの影響を与えかねないからだ。
今回の天神ビルの再開発計画で注目されるポイントは、
・隣接地の対応はどうするのか
・天神橋口交差点の交通渋滞を併せて改善できる計画なのか
主にこの2点である。特に後者は重要項目で、九電の再開発計画の手腕に期待がかかるところだ。
都市としての更なる成長に期待
日本全国、都市と位置付けられる場所は大きな使命を背負っているといえる。地域経済の発展と人々が快適に生活できる環境整備だ。福岡市は言わずもがな都市である。天神ビルを含め、天神ビッグバンは福岡の都市としての未来を占う重要なプロジェクトである。
再開発完了後の人の流れ、企業誘致。他の都市をライバルと考えれば、大きな成長を期待したいところである。